前回は「使わないと減らされる」生体基礎反応として、筋力について説明しました。
今回は脳についてです。
脳の縮小を止める方法
脳の縮小を止めるには以下の六つが重要です。
- 活性酸素を減らす
- 適切な時間の睡眠をとる
- 暴飲暴食をしない/糖分や脂っこいものを控える
- ストレスを排除する
- 栄養を十分量摂取する
- 脳を積極的に幅広く使う
活性酸素が発生するタイミングを覚え、抗酸化物質を摂る
このブログでは「活性酸素は老いの最大原因」と何度となく言ってますし、これからもいい続けますが、活性酸素を抑えるにはまずは活性酸素が発生するタイミングを覚え、それらを避けることが一番です。その上で、抗酸化物質をとるのが良いということになります。
活性酸素が発生するタイミングは以下の通りです。
- 紫外線
- 紫外線を浴びると、皮膚の細胞内に大量の活性酸素が発生し、肌の弾力やハリを保つコラーゲンやエラスチンを破壊します。
- ストレス
- 精神的ストレスにより、コルチゾールという抗ストレスホルモンが発生します。このコルチゾールは活性酸素を増加させます。
- コルチゾールが発生すると血管収縮や血圧の上昇により大量の酸素が必要になります。大量の酸素が体に入ってくると細胞が活発に動きますので、その際に大量の活性酸素が発生することになります。
- 病気・怪我
- 病気や怪我から体を守るために細胞伝達物質や免疫機能として活性酸素が発生。またウィルスや異物と戦うために好中球が出てきて、過酸化水素を大量産出する。
- 化粧品・シャンプーなどの肌につけるもの
- 化粧品、医薬品には微生物による汚染を防ぐため、防腐剤(パラベンなど)が使用される。他にもフッ素は約半数の化粧品に含まれている。これらが活性酸素の発生を促す。
- タバコ
- タバコの煙には、体内の酸化や炎症を引き起こし、活性酸素を産生する物質が多く含まれている。
- 酒
- アルコールは肝臓で2種類の代謝酵素の働きにより、速やかに水と二酸化炭素に分解される。その代謝とプロセスで活性酸素が生じ、細胞の酸化と損傷を進める。
- グルテン(小麦タンパク)を食べた時
- グルテンは腸の粘膜に張り付き、炎症を発生させることで、活性酸素を体内に送り込む働きをします。
- また、グルテンは中毒性があり、やめられないものになってしまいます。
- 体に悪いものを食べた時
- 菓子類やインスタント食品など加工食品、悪い油などを食べたときは、体はそれらを異物と判断して活性酸素を発生させ攻撃をします。
次に活性酸素を除去する栄養を覚え、これらを積極的に摂取しましょう。
- SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)を増やす酵素
- SOD酵素は、体内で過剰となった活性酸素(主にスーパーオキシド)を取り除く働きがあります。
- ルボスティー、大豆、米胚芽、落花生などがSOD酵素を含む食品
- ポリフェノール
- スーパーオキシドや一重項酸素を無毒化する作用がある。
- ポリフェノールは様々な植物に含まれており、野菜、果物、穀物、ナッツなどには全て含まれていると考えて間違いはありません。あえてポリフェノールが多い食品をあげるとすると、ベリー類、玉ねぎ、セロリ、ナス、胡桃、ピーナッツ、大豆となります。コーヒー、緑茶、ココア、チョコレートにもポリフェノールは豊富に含まれています。
- ビタミンC
- 抗酸化力が非常に強く、活性酸素から細胞や組織を守るという体にとって、強力な味方です。残念ながら体内では作られないので、毎日摂取が必要となります。抗酸化力が非常に強いため、酸化防止剤として使われる時もあります。
- パプリカ、黄色キウイフルーツ、ブロッコリーなどに豊富に含まれます。「色の鮮やかな野菜やフルーツには大量に含まれる」と覚えておきましょう。
- ビタミンA
- レチノールやカロテンなど体内でビタミンAとして働く物質の総称です。抗酸化力が強いのと同時に、目や気管、皮膚などの粘膜に関係する機能を助けます。
- レバー、うなぎ、バター、鶏卵などの動物性食品に多く含まれます。
- カロテノイド
- カロテノイドは自然界に存在する黄色・赤色の色素成分です。体内でビタミンAに変換されたり、生活習慣病を予防したり健康維持のためには重要な成分となります。
- にんじん、トマト、パプリカなどの緑黄野菜、マンゴー、柿、スイカなどの果物、わかめやひじきなどの海藻類、えび、かになどの甲殻類に多く含まれています。
- アスタキサンチン
- 非常に優れた抗酸化力を持つことで知られる栄養素です。アスタキサンチンの抗酸化力はビタミンEが脂質の酸化を防ぐ力の1000倍の力を持っており、ビタミンCが一重項酸素を消去する力の6000倍の力を持っています。
- アスタキサンチンはカロテノイドの一種で、エビやカニなどの甲殻類に多く含まれています。
- エビ、カニ以外では鮭やヘマトコッカス藻に含まれています。ちなみに、これらは総じて赤いですが、その赤こそがアスタキサンチンです。
適切な時間の睡眠をとる
脳は睡眠中に脳内のゴミであるアミロイドβというタンパク質を排除します。具体的には、睡眠中にアミロイドβが血液に排出されて肝臓に運ばれ、無毒化されます。睡眠が足りないとこのアミロイドβが蓄積し、蓄積によって大きな塊となると毒を発生させ、正常な脳細胞を殺してしまいます。これにより脳の縮小が起こります。なお、このアミロイドβの蓄積並びに大きな塊は認知症の原因になるので注意が必要です。
よって適切な睡眠時間が必要ですが、「適切な睡眠時間」は人によって違います。自分の「適切な睡眠時間」を知るには目覚ましをかけないで自然と起きるようにしましょう。自然に目がさめるまで寝た時の睡眠時間が「適切な睡眠時間」で、人によって違うだけでなく、体の状態によっても違ってきます。
暴飲暴食をしない/糖分や脂っこいものを控える
細胞を正常な状態に保ち、新しい細胞を生み出すには細胞の新陳代謝が必要です。この新陳代謝は暴飲暴食や脂っこいものを食べることで抑制されてしまいます。
また、脂っこい食事はアミロイドβが増やす原因にもなるということもわかっています。アミロイドβを排出するにはインスリン分解酵素が必要になりますが、脂っこい食事はインスリンの大量発生を促します。インスリンが大量発生すると、インスリン分解酵素というものが働き出し、インスリンを分解します。インスリンは血糖値を下げるので悪いものではありませんが、ずっとで続けていると血糖値を下げる働きが弱くなるため、インスリン分解酵素がインスリンを分解するのです。このインスリン分解酵素はインスリンだけでなくアミロイドβも分解するのに使われます。しかし、脂っこい食事によりインスリンが大量発生し、インスリン分解酵素がそのために使われてしまうとアミロイドβを分解することができなくなります。それにより、アミロイドβが蓄積し、認知症に繋がってしまうということです。
ストレスを排除する
ストレスは以下の2つの意味で脳の縮小に影響する。
- 活性酸素を放出する
- ストレスにさらされるとそれを緩和するためにストレスホルモンが放出され、それにより活性酸素が大量に放出さます。ちなみに苦労人に白髪が多いのはこのせいです。
- 脳の各機能の働きを低下させることで脳を働かない状態にしてしまい、それが続くと「いらない細胞」として扱われてしまい、結果、萎縮を促進する。
- ストレスに対抗するために脳は感情や記憶を司る前頭前野の働きを低下させ、それら感情を抑え、記憶を無くそうとします。すると、それにより脳細胞が使われない状態が続き、結果、それら脳細胞は死滅していくことになります。
栄養を十分に摂取する
ストレスが発生すると様々なところで栄養が必要になります。第一優先はホルモンを出すためですが、これは、ホルモンが分泌して体の機能を動かすためです。問題は、それらに栄養が行くことで、脳へ行くはずの栄養が行かなくなることです。そのため、脳への栄養が足りなくなり、結果的に脳の働きが鈍り、動かない脳細胞から排除されてしまうことになります。。
ストレスだけでなく、普段も脳への栄養分配は優先的に行われるものではありません。多くの場合は脳以外の身体機能のために栄養が使われ、脳へ行く栄養の量は足りてない状態が多いと心得ましょう。
脳に対して最低限必要な栄養は以下です。積極的な摂取を心がけましょう。
- タンパク質:脳を構成する大部分がタンパク質。また、脳から出るホルモン、体に指示して出すホルモンもタンパク質
- コリン(レシチンコリン): 神経伝達物質の材料となる栄養素。食事で摂取するには鶏卵を食べるのが良い。レシチンを摂取することでコリンを体の中で生成してくれるので、大豆などのレシチンが多い食事を心がけるのも重要
- ビタミンC:タンパク質がきちんと働くための補酵素(※)として動く。また細胞の再生などの補酵素でもある
- ビタミンEやアスタキサンチン、その他抗酸化物質:ストレスやその他要因による活性酸素を除去する
脳を積極的に幅広く使う
脳を積極的に幅広く使うことは非常に重要です。この時に注意したいのは「幅広く使う」が重要であるということです。例えば「脳細胞縮小を食い止めるためにクロスワードを毎日とく」という人がいますが、クロスワードを毎日解いているだだとクロスワードに必要のない細胞が廃棄されていってしまいます。そうではなく、クロスワードも解くし、新聞も読むし、小説も読むし、ピアノもやるし・・・などと幅広く脳を使うことが重要です。意外なのは運動です。運動は様々な筋肉を使います。様々な筋肉を使うということは様々な脳細胞を使っているということですから、幅広く脳を使っていることになります。
また、様々なジャンルの本を読んだり、様々なジャンルのドキュメンタリーを見たり、いった事のない場所に行くなども効果的に幅広脳活用が期待できます。旅行にいく時間がなければウィンドウショッピングや近くのミュージアムなどのイベントへの参加もいいものです。いろんなものに興味をもち、毎日様々な体験をして「すごい!」といいましょう。すると脳の多くの細胞が使われ、脳の萎縮が抑制されます。それが若さにつながるのです。
若さを保つために体と脳を使って生体減少を止めよう
体は「動的平衡が基礎」と言われます。つまり動くことで保たれるという事です。若さを保つには動くことが重要です。ぜひ、皆さんも積極的に動き、体を使い、若さを保っていきましょう!
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